シャーペンと君とあたし
………ウソでしょ?
これってもしや絶対貸さなきゃいけないパターンだったり、す、る?…しちゃうの?
「…………」
数秒間ヘラ男の無言の訴えが続いて、しばらく格闘してみたものの、
(はぁ〜。しょうがないなぁ、もう)
先に断念したのは、あたしの方だった。
だって、仔犬みたいな眼差しで見つめられたらいくらなんでも敵わないよ。みるからに期待いっぱいだもん!
「はいどーぞっ!」
軽くため息を付いてから取り出したシャーペンをヘラ男に差し出すと
「うおー!サンキューッ!助かったわぁ〜!!!あっ!俺、国分宏人!!」
彼は目を見開き、そして、心底嬉しそうにその目を細めた。