シャーペンと君とあたし



顔を見なくても誰だか分かるんだ。


斜め後ろからあたしの鼓膜をくすぐる、低くて芯の通った、温かみのある、声の主。



振り返れば、“あの人”がいると。










「孝太っ!」




話かけられるだけで、名前を呼ぶだけで、

綻んでゆく、目許や口許



ぱぁっ!と、一瞬で花開き、踊る心が、その証拠。





─…古賀孝太


あたしの、大好きな人




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