シャーペンと君とあたし
「もぉ〜、また忘れたのー?しょうがないなぁ」
とかなんとか言って、ほんとはかなぁ〜り嬉しいんだけどねっ?!
孝太が、あたしを頼ってくれること!!
くるっと体ごと孝太を向いたあたしは、焦げ茶色のベリーショートにかっこよくカットされた孝太の髪に頬を弛ませながら、
いつものように、シャーペンを手渡した。
ゴツゴツして男らしい、頼りがいのある、孝太の手に。
そうこれは、“また”であって、“いつも”のこと。
あたしからシャーペンを受け取った孝太は、それを指の中でくるりと1回遊ばせて、
「や、鈴乃に借りればいっかって思って置いてきた」
…平気でそんなことを言っちゃうんだ