モザイク

リスは思い出した。それはチロルの過去だ。カナと呼ばれている人間と過去に何かがあったと言うのは、詳しくは知らなくても誰もが知っている事だ。
「それはあの人間の事を言っているの？」
「あぁ、それがどうかしたか？」
チロルの視線がリスに突き刺さる。リスは怯えた。そして従った。
「ううん、どうもしないよ。そう言う事もあるのかな？って確認しただけだよ。」
「そうか、確認しただけか・・・。」
なおも視線は突き刺さったままだ。
「そうだね、特別な者は除外しよう。これでいいでしょ？」
「すまないな。」
チロルは言った。しかし、その仏頂面はとても感謝しているようには見えなかった。

願いは小さな種となり、世界にばらまかれた。