ダウト-doubt-

これ以上ないくらい、悩んでたくせに、終わるきっかけは、本当に、あっけなかった。

いつも通りの、何気ない会話に、終了ボタンがあったらしい。

あの人の、友達が結婚した話。


「結婚したいと思う?」
そう聞かれた。

「したいけど…無理かもね。」

「なんで?」

「結婚したいくらい、好きな人おるけど、彼女にもなれんし。」

半分以上、冗談のつもりだった。

「あたし、いつになったら、彼女になれるんかねー」
いつものように、あの人は困った顔で、笑ってごまかそうとしていた。

それが、何故か、無性に腹が立った。


「そんな日、永久に来んやったりして。」

意地になって、あたしも、笑いながら言った。

あの人は、やっぱり、何も答えてくれなかった。

相変わらず、曖昧に笑ってるだけ。


「もう、いいよ。ハッキリ言われた方が、よっぽど楽なのに。あたしだけ、必死で、なんかバカみたいじゃん。」


あの人の、苦笑いを見てたら、溜まっていた感情が、止まらなくなって、一方的に、吐き捨てるようにして、あたしは喋り続けた。


「付き合う気ないって、ちゃんと言われたら、割りきれるし、諦めれるのに。なんで言ってくれんの?いっつも、仕事仕事って、そんなの言い訳じゃん。」

「ゴメン…」


謝られると、余計、惨めだった。

今まで、何度『ゴメン』と言われてきたことか。

なのに、何も変わらない。

知り合った二年半前から、あたしたちは、変わっていない。

変わることが、出来なかった。

そして、この先もきっと、このまま。

ムナシイ…。

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