ダウト-doubt-

二年半、というと、途方もない長さに思えるが、中身は実に、淡白だった。


週に一度、着信があるかないか、という程度で、あたしから電話しても、絶対に出ない。

折り返しの電話なんか、掛かってきた試しがなくて、それどこれか、数日経っても音沙汰なし。

メールアドレスなんて、未だに知らないし、仮に知っていたとしても、恐らく、役に立ってないだろう。


月に一度でも会えたら、まだマシな方。

ただ、あたしの家に来ているだけで、一緒に出掛けた事なんて、両手で足りるくらいだ。

それも、近所のコンビニに、煙草を買いに行くだけ。


客観的に見たら、あたしは、ただの、都合の良い女でしかないだろう。

そんな相手に、よく二年半も、片思いしていたと、我ながら思う。


ただ、正確に言えば、片思い、ではない。

もちろん、あたしの自惚れや思い込みでなければ、の話だが。

愛されている、とは思う。

でも、それは、飼い犬を可愛く感じる程度のもので、長年の馴れ合いの中で湧いた、愛着でしかない。


それでもいいと、ずっと、本気で思ってきた。


だけど、最近になって、ようやく、それを虚しいと、本気で思えるようになった。


歳を、取ってしまった、証拠かもしれない。

今までのように、傷つくことも、孤独も恐れず、突っ走る事が、もう出来ない。


苦しくても幸せだった恋は、いつの間にか、ただ苦しいだけの恋になっていた。

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