ラスト
「なぁ…」

彼はそう言うと黙った。
「何?」

「最後にキスしていいかな?」

そう聞かれ、断らなきゃいけないのに、うなずいてしまった。

「今まで、俺に付き合ってくれてありがとう。
…………………
これでサヨナラ…
これが最後…
ラストキスだね…」

彼は笑ってそう言った。
いつもみたいなキスではなかった。

彼はすぐに出ていった。

これで良かった…

良かったはずなのに…

涙が止まらない…

本当は、追いかけたい…
離れたくないって言いたい…

最後だなんて、嘘だと言って欲しい。

もう一度、強く抱き締めて…

消え去った想いが一気に蘇る。

やっぱり…彼が好き…




すると、ドアが開いた。
彼が来てくれた…

そう思ったけど、奥さんも一緒だった。

二人の会話なんて聞きたくない…

楽しそうに話さないで…
消えてしまいたい

涙が止まらない…
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