桜の見える丘(仮)

うふふ、とついつい満面の笑みになってしまう。


「お前なっ!!俺をバカにしてんだろっ!!」


急に振り返り…少し赤くなった顔をしながら私に襲いかかる。


「ちょ!!バカにしてないってー!!」


動物のじゃれあいのように飛んでくる手を止めながら一緒に笑う。


すると…神谷の腕の力が強すぎて…私の力が負ける。


「うあっ!!」


「きゃぁ!!!」


―――――――ドサッ…


私の背中には…砂浜。


目の前には…神谷…。


神谷の影に私の体はすっぽり入ってしまっている。


いきなりこんな状態になり…動きがない。


「うわー…いちゃいちゃしてるよぉ?私達もいちゃいちゃしてやろっか?」


「そーだねー…俺の葵ちゃん?」


聞きなれた声がすると思って…この状態のまま声がした方を見ると…。


柏木君と葵…がえらくくっついてこちらをニヤニヤと見ていた。


「う…うわぁああ!!!」


ドンッと鈍い音をさせて…私は神谷を押し飛ばした。


「いってぇ…。」
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