桜の見える丘(仮)


「葵…うれしい?」


「うん…。嬉しい。ほんとに嬉しい。多分…今まで生きてきた中で嬉しい…。」


2人はスースーと寝息を立てて寝てるし…さっき何があったのか聞くチャンスだ。


「葵…、あれからどうなったの?私、神谷に連れて行かれたからさ…知りたくって!!!」


目をキラキラさせて葵を見る。


葵は、少し照れたように話しだした。



―――――――――――――――――・・・



私がいきなり泣き出したことで美姫は慌てていた。


美姫だけでなく…柏木まで。


慌てて落ち着きのなかった美姫を神谷はどこかへ連れて行ってしまった。


え…2人っきりじゃん。


柏木は…私が泣きだしたことに何かを勘違いしてるみたいで…一生懸命意味のない言い訳をしている。


違うんだよ…違うの…。


あんな女に言われたことで傷ついたりしないのに…。


それが嫌だったって言ってさ…私の頬にキスするって…なんなのよ…。


気持ち…抑えられなくなっちゃったじゃん。


気持ちを…我慢すればするほど、涙があふれる。


もう…止められないんだ…。
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