桜の見える丘(仮)


「でも、私の方見たー!!」


「見てないよ~?ってか、私に甘えないで彼氏に甘えろ!!」


神谷に甘えろってぇ!?


んなの、無理に決まってんだろーが!!


神谷に自分が甘えに行ったところを想像してみろ!!


寒気がするわ!!


「だって…恥ずかしいじゃん。どうせ『なんだ!?気持ち悪ぃ…』って言われて終わり。甘えたくても甘えれないってーの。」


ふぅ。とため息をつきながら、もう諦めました~って顔で葵に話した。


「んじゃぁ、そんなこと言わなきゃ甘えるわけ?」


「そりゃーねぇ。甘えるかもね。」


…………?


………って。え?


葵…って、あんなに声低くなかったよね…。


どうして…寝てるはずの神谷の声がしたんだろう…。


錆びた機械がギィー…と音を立てるようにゆっくり動いて神谷の方を見る。


そこには…スースーと可愛い寝顔を見せていた奴はいなくて…手の甲をあご置きにしてこちらをニヤリと見ている奴がいた。


そいつが…先ほどの言葉をもう一度言ったんだ…。

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