先生との恋☆Second・Story☆完結☆
「あ…」
服の上からだけど、傷を確かめるように撫でられる。
「僕は後悔してない。傷が嫌だなんて思わない。
傷を…見るたびに思ってたよ。
あぁ、心は生きてるんだって。助かったんだって」
「高橋、」
「こうして抱きしめられて、生きてるんだって思うことに僕がどれだけ幸せを感じてるか心は考えたことある?」
真っ直ぐ聞かれるその言葉に何も言えない。
「心こそ僕のこと、何にも分かってないよ…」
はぁ、とため息を吐かれてあたしの肩へと高橋は頭を預ける。
「わがままだけど、大人げないけれど、僕の言った言葉全てを本音だと思わないでほしい。僕だって強がる時があるんだよ…。本当はバイトだって行かせたくないし大学なんて行って欲しくないし、ずっと家にいてほしい」
初めて聞く、高橋の本音。
「バイト先で男の子と仲良くしてるし、きっと大学なんか行ったらおじさんの僕なんか嫌になるってずっと不安に思ってるんだよ…?」
「そんな、」
そんなことないのに。
高橋はあたしの言葉を遮って続ける。
「でも、そう思うのと同時に、もっといろんな経験をしてほしいなとも思うんだ。今まで我慢してた分、取り戻すようにやりたいことにどんどん挑戦して行って欲しいとも思うんだよ。…言ってることちぐはぐなんだけどね」