貴公子と偽りの恋

「俺か？ 俺、怒ってたっけ？」

「うん。お昼休みに、屋上で…」

「ああ、あれか」

「メグちゃんに何か言われたの？」

「はあ？ 竹中恵は関係ない」

「そうなの？ じゃあ、どうして怒ったの？」

「それはその…」

「私？ 私が裕樹を怒らせたの？」

「それはまあ、そうだけど…」

「ごめんなさい。もうしないから、私の何がいけなかったのか、言ってくれる？」

「いや、おまえは悪くない。ただ、強いて言えば…」

「何？ 直したいから、何でも言って？」

「それは、その…」

どうしたんだろう。香山君にしては、やけに歯切れが悪い。
そんなに言いにくい事なんだろうか…