貴公子と偽りの恋
「ねえ、やっぱりって、どういう事?」

香山君は、ニコニコ笑うだけだった。


こうして香山君と一緒に帰るなんて、夢のようだわ…

夢?

そうよ。七夕の短冊に託した私の3年越しの夢が、今ようやく叶ったんだわ。

メグちゃんの身代わりだけど、『友達』にはなれたと思う。

それ以上は望まないようにしよう。欲を出したら、がっかりするだけだから。

香山君と仲良くなれただけで、良しとしなくっちゃね。


「梅雨が明けたらしいな?」

「へえー、そうなんだあ」

もうすぐ夏休みだなあ。

今年の夏休みは、ちっとも楽しみじゃない。だって、香山君に会えないから。


「なあ、本当に俺の弁当、作ってくれるのか?」
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