貴公子と偽りの恋
「うん、作るよ。でも、あまり期待しないでね?」

「おお。あのさ、明日はカンカン照りで、すごく暑くなるらしいんだ」

「ふーん」

「だからさ、明日は屋上じゃなくて、裏庭で昼飯食べないか? あそこなら日陰があるからさ」

「うん、いいよ」

裏庭か…

裏庭と聞いて思い出すのは、私が香山君に告白した事だった。

いったんは断られて、私が泣きながら歩いていると、『ちょっと待てよ』と香山君に呼び止められ、私のぶざまな泣き顔を香山君に見られちゃった。

でもその後香山君から条件を出されて、迷ったけど承諾して、今こうしている。

たぶん裏庭は、私にとって生涯忘れられない思い出の場所になるんだろうな…
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