貴公子と偽りの恋
私はお弁当箱を広げ、手を合わせて『いただきます』と言った。

私の初めてのお弁当は、どんな味かなあ。

ワクワクしながらお箸を持った時、香山君がジッと私の顔を見ている事に気付いた。

「なあに?」

「優子の『いただきます』は、アレだなあと思ってさ」

また『アレ』?

「どうせ私はぶさいくですよーだ」

「違うよ。可愛いって事だよ」


「え?」

『可愛い』って聞こえた気がするけど、私の聞き違い?

「今、か…」

「いただきまーす」

『可愛いって言った?』と聞こうとしたら、香山君はお箸を持って、ご飯を食べ始めてしまった。

気のせいか、香山君の目が泳いでる気がした。
< 151 / 169 >

この作品をシェア

pagetop