貴公子と偽りの恋
一番、味に不安だった厚焼きタマゴを食べてみた。

うん。まあまあかな。私にしては上出来じゃない?
香山君はどう思ったかな。

気になって横目で香山君を見たら、静かに黙々と食べていた。
美味しくないのかなあ…

「裕樹…?」

「ん?」

「美味しくない?」

「え、ああ、いや、すっごく美味いよ」

「ほんとに?」

「ああ、ほんと」

そうかなあ。あまり美味しそうな顔してなかったけどな…
その時、不意に香山君の好き嫌いの事を思い出した。

「あ、そうだ。嫌いなものある? あったら私のと…」

「ないよ」

「え?」

「俺、好き嫌いしないから」
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