雪色の囁き ~淡雪よりも冷たいキス~
窓の外を見るといつの間にかジンの車が停まっていた。
兄やジンは大学でバンドを組んでいて、時々こうして防音室のある遼の部屋を借りに来る。
私はリビングを出てもう一枚ドアを開け、地下へと続く階段を下った。
いくつか部屋を過ぎ、一番奥のブースへ向かう。
そっ…と気づかれないようにドアを開けると同時に、聴き覚えのあるメロディと綺麗な歌声が流れてきた。
その曲は『真珠の雨』というタイトルで私のお気に入りだった。
いつもはヴォーカルの兄が歌うのに、今日は別の二人が歌っている。
ギター担当のはずのジンと……初めて見る女の子。
ややハスキーなジンの声と透明な伸びのある女の子の声がすごく合っていて、その切なくも美しいハーモニーに聴き惚れてしまう。
曲が終わり、私は思わず拍手をしていた。
「──紗矢花、なんでここにいるんだよ? あいつは?」
椅子から立ち上がった兄が、鬱陶しげにこちらを振り返った。
「遼ならさっき出かけたよ。私は留守番」
「あっそ」
「ジン、久しぶりだね」
「……ああ、そうだな」
ジンは鋭い眼をほんのわずかに細め言葉を返す。
兄やジンは大学でバンドを組んでいて、時々こうして防音室のある遼の部屋を借りに来る。
私はリビングを出てもう一枚ドアを開け、地下へと続く階段を下った。
いくつか部屋を過ぎ、一番奥のブースへ向かう。
そっ…と気づかれないようにドアを開けると同時に、聴き覚えのあるメロディと綺麗な歌声が流れてきた。
その曲は『真珠の雨』というタイトルで私のお気に入りだった。
いつもはヴォーカルの兄が歌うのに、今日は別の二人が歌っている。
ギター担当のはずのジンと……初めて見る女の子。
ややハスキーなジンの声と透明な伸びのある女の子の声がすごく合っていて、その切なくも美しいハーモニーに聴き惚れてしまう。
曲が終わり、私は思わず拍手をしていた。
「──紗矢花、なんでここにいるんだよ? あいつは?」
椅子から立ち上がった兄が、鬱陶しげにこちらを振り返った。
「遼ならさっき出かけたよ。私は留守番」
「あっそ」
「ジン、久しぶりだね」
「……ああ、そうだな」
ジンは鋭い眼をほんのわずかに細め言葉を返す。