雪色の囁き ~淡雪よりも冷たいキス~
私はふと、その隣に立つ女の子に目を止めた。


「か、可愛い……人形みたい!」


思わず叫んでしまうほど、その子は可愛かった。

可愛いというより、綺麗?

アンティークな色調の花柄のワンピースに包まれた体は、細いのにも関わらず女らしい体型でスタイルが良かった。

紅茶色の巻き髪はゆるく肩に下りていて、触れたら柔らかそう。

色素の薄い睫毛は遠目からでもわかるほど長く、まるでフランス人形のようだ。

雰囲気は清楚で、おとなしい印象。


「あー……ごめんね。それ、俺の妹なんだ」


兄がその子に説明すると、彼女は薄茶色の目を丸くして言った。


「えっ、妹さん?」

「愛梨ちゃんと同じ年かな」

「初めまして。妹の紗矢花です」


私はその子におじぎをする。


「……初めまして。サークルの後輩の、山下愛梨です」

「いつも兄がお世話になってます」

「あっ、いえ……」

「こんな可愛い後輩がいて、お兄ちゃんたち幸せものだね。――で、どっちの彼女?」


私は兄とジンを見比べて聞いてみた。


「どっちの彼女でもねーよ、愛梨ちゃんはみんなのモノだし」


兄は迷惑そうに私のことを睨んだ。
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