雪色の囁き ~淡雪よりも冷たいキス~
私だって、遼には見せていない、見せられない一面だってある。
でも、遼が優しくしてくれるのが偽りだったとしたら……少し怖い。
「ごめん……。俺は自分を見せるのが下手で。職場でも友人の前でも。本当に心を許した相手でないと、ありのままを見せられない……」
「そうなんだ。私にも見せてくれたらいいのに」
唇を尖らせてうつむくと、遼は微かに笑った。
「じゃあ、紗矢花には少しずつ見せていくよ」
遼は言葉を選ぶようにゆっくりと言った。
「……本当?」
「まあ、劇的に変わるわけではないと思うけどね」
「それでも嬉しい。遼のこと、もっと知りたくなってきた」
急に彼への興味が湧いてきて、たぶん私の目はキラキラと輝いていたのだと思う。
遼はそんな私を見て苦笑いをしていた。