no drug no future
22章 endless dark

だんだんと季節が冷たくなる。

街路樹は色付き、物悲しい景色を私にみせる。

イチョウを見上げると小学生の頃、校庭で強制的に行われていた銀杏拾いを思い出した。

臭くて臭くて本当に嫌だったな・・・。

それは果てしなく遠い記憶に思えた。

懐かしさに浸りたくて思い出を振り替えようとした。

だめだ・・・

なんだか全然思い浮かぶものがない。

親の顔さえ・・・。

気づけば過去の記憶がぼやけている。

まるで他人の思い出話から連想される程度の薄い薄い思い出たち。

月日のせいかな?

いや、きっと違う。

薬をやると記憶障害が起きる。

そう聞いたことがあった。

私の障害がどの程度かは分からないけど。

これも罰なんだ。


嗚呼、私は大切な思い出まで失ってしまったみたいだ・・・。


皮肉にも嫌な思い出はしこりのように残っているのにね。


< 166 / 186 >

この作品をシェア

pagetop