きみのとなり
「あーあ。照れちゃって」
梢がぼそりと呟いた。
「照れちゃって?」
「鈴木、未来に見とれてたんだよ」
ふふっと梢が笑う。
「っ~…」
それを聞いて私の顔は一気に熱を持った。
「う…嘘だぁ」
「俺も見てたから知ってるよ!斗真、ぼーっとしてみぃたんのこと見てた!」
田中君もクククッと笑った。
「も~う…やめて!」
私は恥ずかしくなって台本で顔を隠した。
すると
「いいなー。仲よくて。私もそんなふうになってみたい」
梢がため息をついて言った。
「あ…」
『私田中のこと好きなんだ』ーー
そうか…
梢は田中君が好きなんだっけ…
私はちらっと田中君を見た。
いつもと変わらずニコニコ顔だ。
うん。やっぱり、よくわからないかも。
勘は鋭いのに、自分のこととなると鈍感で。
継母役とか抜擢されちゃうし。
あー…梢はいつも助けてくれるのに…
私は何にもしてあげられない。
どうにか、してあげたいのに。