恋形
病院

羽流はうつむきながら
一点を見つめたまま長椅子に座っている
その向こうには手術中の明かりがついている

そこに
羽流の連絡を受けた
亜季の両親が息をきらせながらやってきた

羽流は亜季の両親にむかって
一礼する

羽流「お久しぶりです…」

亜季の両親も羽流に一礼した

母・由美子「亜季は?」

羽流「たった今、救急車で運ばれて手術室に」

由美子は不安な表情で手術中の明かりを見つめる

羽流「突然……突然だったんです。喫茶店で…それまで元気に話して僕が会計しに席を離れたら…突然…」

羽流「確かに…確かに最近まで咳とかしてたから風邪かなって思っていたんですが…救急車で運ばれていきなり手術なんて……」


由美子「そう……亜季は……亜季は羽流くんには黙っていたのね…」

黙っていた…??
羽流はなんのことを言っているのかわからなかった

羽流「黙って…いたって…?」

由美子はすこしだけ深く息を吐いた

由美子「亜季は…亜季はね……」

由美子が話そうとしたとき
手術中の明かりが消え手術室の扉が開いた
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