青空色のタイムリー
「お~い、永倉(ながくら)また教科書わすれか?」

先生がいつもの口ぶりで言う。

「いえ、持って来たはず何ですけどね-------」

机の中を確かめてもどこにもない。置き弁をしているはずなんだけれど、これはまさか虐めでも始まったのか? 周囲を見ても冷めた視線。どうやら早くしろとの事らしい。なので隣の生徒に見せてもらう、いやいやされながら。
授業は早送りをされている如くに追いつかなかった。
今は昼休みで昼食の最中。
屋上に出て、新鮮な空気を肺にため欠伸を欠く。雨に当たらないポジションに腰を落とし、売店で購入したパンをかじる。ほんのりと甘い甘味を堪能し、遠くに視線を移す。町を騒がす猛暑の音。雨に負けじとむせ返す廃熱思考。全てにおいて現実味に欠けることなのだろう、僕だけが気になること、身近なようでそうでない。当たり前がわからない観念に苛まれている自分。遠からずもそこに該当する自分、してしまう自分。まぁ、どうでもいいことなのだろうけれど。
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