【完】ポケット-幼なじみ-
「いい?…必ず、それと同じ鍵。
違ってたらさがし直し。
鍵をほかの人に
さがしてもらうのもダメ。
それと…
鍵を見つけてもあなたが
制限時間内に
戻って来れなければ負け。」
最後にそう言った時、真井さんの顔が異常に緩んだのを、私は見逃さなかった。
「…わかった。」
私が頷くのを見て、彼女は満足げに微笑んだ。
「……歩夢、ちょっと。」
急にはる君が手招きをしながら私を呼ぶ。
「…なに、…はるく…っ」
急にぎゅっと抱きしめられる。
ふわりとはる君の匂いが私の心と鼻をくすぐる。
「鍵。……鍵かして。」
耳元でぼそぼそと言うはる君に黙ってにぎりしめてた鍵を渡すと、ひやりと首に冷たくて硬い感触の何かがあたる。
「…よし、頑張っておいで。」
ぱっと腕の中から解放され、ぐるっと背中を向けさせられると最後にポン、と優しく肩を叩かれた。