エンドレスワールド


幸音は毎日同じ場所から空の写真を撮っている。

空だけではない。

美しいと思ったものは、なんでもカメラにおさめていた。

それを自身のホームページに掲載し、何人かファンだっている。

写真を撮り終わるとポケットへそれを押し込んだ。

しかしそれと同時に今度はブルっと振動し、主人に何かを伝達した。

「ん、メールだ。藍李?スッゴい久しぶりだなあ~何だろう」

自転車に跨ると、ディスプレイを見ながらペダルをこぎ始めた。

生暖かい風が頬をきって、髪を揺らす。

「久しぶりに遊ぼーよ、か。いいね!毎日馬鹿翡翠の相手なんかしてないで、たまには中学の旧友とランチなんてのもいーねー!」

笑みを作りながら、素早い手つきで了承の返信を済ませた。

その後すぐに藍李から日程のメールが届き、二人は明後日の放課後に会う約束をした。

幸音は久しぶりの再会を想像し、小さく笑うと再びペダルを漕ぐ足に力をいれた。

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