謝罪人 Kyouko スピンオフ小説

⑥思惑

リカと別れた次の日。

拓也は、木村のオフィスにいた。

木村は、コーヒーテーブルのソファに座っている。
拓也は立つたままだった。

「本気ですか・・・・・・辞めるって・・・・・・? 」
木村が不思議な顔で拓也に尋ねた。

「もう決めました。これお返しします」
拓也が謝罪人の名刺をコーヒーテーブルの上に置いた。

「でも・・・・・・どうして・・・・・・? 」
木村は、名刺を手に取って尋ねた。

「この仕事をしてわかったんです。本当に心から謝罪する気持ちのない人間の手伝いをしていただけじゃないかって・・・・・・ただ、謝るだけじゃ駄目だっていうことが・・・・・・ある一人の女性から教えてもらったんです」

「ただ、謝るだけじゃだめ・・・・・・? 」
木村は不思議な顔で聞いた。



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