謝罪人 Kyouko スピンオフ小説
「あっ! すいません。なんか偉そうなこと言ってしまって・・・・・・」
拓也は、木村に文句を言っているように思われたら困ると思い 言葉を付け加えた。

「このまま、この仕事を続けると、人の気持ちなんか考えずに平気で謝罪してしまう無責任な人間になりそうなんです。だから・・・・・・だから辞めようと思います」
拓也が素直な気持ちを告げた。

「あなたみたいな有能な謝罪人を失うは、私としても悔いはあります。考え直すことはできませんか? 」
木村は頼むように言った。

「勝手なことを言いまして、申し訳ありません」
説得しようとす木村に拓也は、深く頭を下げた。

「・・・・・・」
拓也に謝罪された木村は、一瞬、心の中に不思議な感情が芽ばえた。
それは、人を許すという感情だった。

木村は、頭を下げられた拓也にそれ以上は何も言えなかった。
言えないというより、言葉が出でこない。
これが、拓也の能力なのかと感じた。

 




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