流華の楔



数日後、土方は…




「惚れてねぇ…と思うんだが…」



まだ言っていた。
独り言のようにぶつぶつと。



「あの、副長…」


「斎藤か…入れ」




物凄く後悔。

斎藤が廊下にいたというのに独り言とは。
もはや自分は後悔の塊である。


土方は「あー」と髪を掻きむしりながら斎藤を促した。









着崩した土方の前に、ぴし、と斎藤が座る。



「で。用件は…あれか」



「はい。副長が仕掛けた見るも無惨な拷問の数々のお陰で判明したあれですが…」



まるで俺が悪鬼みたいな言い方ではないか、と思った土方だが、そこは無視をする。

くだらない事で怒っている場合ではないからだ。
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