僕とあの子の放課後勝負
教室に入ると、いつもざわざわと五月蝿い…はずの生徒が、きちっと椅子に座っていた。どういう風の吹き廻しだろう。
京平に聞いて、やっとわかった。明日は、学校で飼っていて、一組全員が全てを尽くして可愛がっていた――仔兎の命日だ。
担任が入ってきて、切り出した。
「えー…明日は、豆太の命日だ。明日は学校は休みだからな、今日やろう。皆、一分間の黙祷。始め」
沈黙が、少し怖い。
豆太は、兎の名前だ。
白くてふわふわで、愛嬌のある奴だった。僕が日曜日にやらなくてはいけないこと、それは――豆太の絵を完成させることだった。人一倍豆太を可愛がっていた葵に、豆太の代わりと言っては何だけど、せめて慰めるためにあげるんだ。
午前中は皆、気が沈んでいた。