僕とあの子の放課後勝負
あまりにも重い朝だったので、すっかり忘れていた。
明日僕は、葵の家に行って、絵を渡す。その絵を入れる額を買い忘れた。…家にあると、良いんだけど。
午後の授業は一組ならではの活気を取り戻し、それに押されてまた疲れた。いい加減受験生なことを自覚して欲しいものだ。
葵がまた、校門で待っていた。
「今日は飴太、一緒じゃないのか」
「…飴太ね、逃がしたの」
「へ」
あんなにも可愛がっていた飴太を……逃がした?葵が?どうして、どうして?
聞けば飴太は、死んでしまったわけではないと言う。でも、それなら何故逃がす必要があるのか。…確かに少し、可哀相だったけれど。
「豆太の一周忌に、同じ動物の仲間が欲しいんじゃないかと思って。同じくらい可愛がって同じくらい愛情を注がれて、それで自分に似た名前の子がいれば、寂しくないんじゃないかしら。どちらにしろ、一度人間に飼われたものは自然の中でなんて生きられやしないわ…私、飴太に、豆太に酷いことしちゃった。最低、最低よ…っ」
「葵…」