RUN&GUN
「うん、まぁそうだな。可愛いけど」

何かあったのかと心配になり、とりあえず藍の食い付きそうな言葉を口にしてみる。
様子を見るという目的もあるが、着飾った藍に目を奪われたのは事実だ。

途端にぴょこんと、藍が顔を上げ、与一を見てにっこりと笑った。

が、いつもならすかさず口を突いて出る軽口は出ず、藍は笑顔を向けるだけだ。
それが返って与一を何とも言えない気分にさせる。

今まで見たこともない、年相応(?)の可愛らしい格好に、薄い化粧。
まさに天女の如き美しさの藍の向ける瞳には、己しか映っていない。
藍が今見上げているのが与一だという事実のせいだけでなく、今現在、何故か藍は与一を頼り切っているということに気づいた与一は、無性に恥ずかしくなった。

「そうそう。彩ちゃんが、お前に贈り物をしたいってよ」

「え?」

気を紛らわすべく、ごほん、と咳払いをしていた与一は、三郎太の言葉に顔を上げた。

「よいっちゃん。ご飯、食べた?」

与一に引っ付いたまま、上目遣いで言う藍に、与一は頷いた。

「お腹、いっぱい?」

「・・・・・・蕎麦だったんで。いっぱいでは、ないですけど」

珍しく、あまりの藍の可愛さに呑まれ、知らず敬語に戻ってしまった与一に、三郎太がにやりと笑った。
< 316 / 407 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop