クラウピア 〜雲の上の国の物語〜
 ナナは走り出す。

俺は肩で息してるってのに。

どんだけ、体力あんよ。

ナナはさ。

《神殿ノ秘密ハモラスワケニハイカナイ。虹蛇、オ前ゴト、オ前ノ主人ヲ殺ス。》
 アペプは虹蛇を睨んでいる。
《ラートノ戦イカラ逃ゲ、コンナチッポケナ神殿ノ番人マデ堕チタオ前ニ俺ガ負ケルハズガナイダロ。》
《挑発ニノルツモリハナイガ、本気ヲ見セテヤル。》
 すると、身体中の青いウロコが剥がれ落ち…

下から漆黒のウロコが現れる。

天候も黒い雲が増え、風が吹き、当たりは暗くなる。

《オモシロイ。相手トシテ不足ナシ。》
 虹蛇も、身体中から七色の光を放つ。

お互い、本気で戦うみたいだ。

『いいのかよ、ナナ。』
 あの2匹が全力で戦ったら…

このあたりは…

ただじゃすまない。

『うーん…でも、相手がアペプとなると…ウォルンクァも、本気で戦うしか…』
『戦いを避ける策は?』
『私もほとんど魔力が残ってないし…』
 どーしよーって顔をしている。

困った顔されてもね…

『なら、俺には使えないか?』
『え?』
『魔力って、鍛えなくてもある程度はあるだろ?』
『まあ…』
『だったら、あいつらの戦いをやめさせることくらいは…』
< 10 / 65 >

この作品をシェア

pagetop