クラウピア 〜雲の上の国の物語〜
『ボゥ…』
 九尾はいきなり炎をまとう。

そして、姿形が変わり…

ピンクの蛇になる。

『あのぅ…お2人さん…』
 2匹は同時に九尾を見て、

同時に目がハートになる。

蛇から見たら美人ならぬ、美蛇なのだろうか。

《ドウシタンデスカ、お嬢サン》
 虹蛇が話しかける。

蛇語じゃなく、俺たちのわかる言葉ってとこがおもしろい。

2匹とも、完璧に鼻の下がのびてる。

『ウォルンクァ…』
 ナナがあきれた顔をしている。
『とりあえず、戦いをやめてください。私は乱暴なことが嫌いです。』
《ラ、乱暴ジャナイゼ!》
 アペプが言う。
《ソ、ソウダヨナ。コレハ、エット、組手ダ》
 続いて虹蛇が。
《ソウソウ!レッキトシタ、スポーツダ!》
『そうですか。ならいいのですが…それより、頼みたいことが…』
《ナンダ?》
《遠慮ナク!》
 アペプ、虹蛇の順に言う。


ナナはさらに、あきれている。

『私、桜が見てみたいのです。』
《《サクラ?》》
 2匹は目を見合わせる。

2匹とも知らないらしい。

『見せてくれた方には…』
 九尾は頬を染める。
《《任セロ!!》》
『ケンカはしないでくださいね。2度と。』
《《ワカッタ。》》
 2匹は離れる。
《ナナ、急用ダ》
『わかった。またね。ウォルンクァ。』
《アア!俺ニモ、ヤット春ガ!》
 ウォルンクァはナナのあきれてますって視線には気づいていない。

次の瞬間、ポンと音を立てて消えた。

アペプも姿を消している。

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