静かなる蒼き雷鳴(仮)
 侍独特の剣技、居合い。
凝縮された「気」と呼ばれるエネルギーを、刀に乗せ空間をも切り裂く。
 いかに試験用に切れ味を落とした刀であっても、髪の毛を切り裂くほどの威力を見せたのは、彼女の技量といえるものだった。
これが真剣であったなら、どれだけの威力を見せるのか想像できない。
 (やはり・・・・・・一太刀は受けざるおえないか)
キムンの毛穴から、嫌な汗が滲み出た。
 ここまで息を止めていたキムンは、大きく息を吐き出した。
そして新鮮な空気を、静かに肺へ送り込む。
 (一撃でも与えねば、合格はできそうもないな。 ならば)
キムンは何かを決意したように、深呼吸をしてから、父の方へ目線をやった。
カントはその視線を受け、その意思を察し、次にクトロンへ視線を移した。
クトロンはその一瞬のやり取りを感じ取っていたが、カントが何故自分に視線を向けたのかわからなかった。
カントはクトロンがそれを見ていたことを確認してから、ゆっくりと目を閉じた。
クトロンにはその行為が、何を意味するのか理解できなかった。
だが、自分も同じようにしなくてはいけないのではないか? 
そう思ってしまう強制力をカントから感じ取り、同じように目を閉じた。
 (ありがたい・・・・・・ 親父は良いとして、クトロン将軍も目を閉じてくれるとは)
キムンは、状況に感謝した。
 ゆっくりと酸素を肺に取り込み、キムンは気を練り始めた。
見えない重圧感が、周囲に満ちていく。
 それに呼応するかのように、ルー師範の姿勢が上がり、中腰の体制をとっていた。
マスタークラスが発する気が、部屋中に充満していくを感じ、目を閉じてしまったばかりに五感が研ぎ澄まされ、クトロンの額には油汗が吹き出ていた。
 十分な気を練り、キムンは左側面に携えている小太刀に左手を添え、右手は背後にある小太刀の柄を逆手に握り締めた。
キムンは何かを決意したように、深呼吸をしてから、父の方へ目線をやった。
カントはその視線を受け、その意思を察し、次にクトロンへ視線を移した。
クトロンはその一瞬のやり取りを感じ取っていたが、カントが何故自分に視線を向けたのか、わからなかった。
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