短編-ワガママな恋。〜始まりのあの日〜
「単細胞、もう帰るぞ。」
幸正がゆっくりと立ち上がり、白衣を脱いだ。
「あ、うん。」
あたしは黒板に書いていた落書きを消すと、素早く鞄を持って出入り口まで歩いていく。
白衣を脱いだ幸正。
第一印象が白衣だったから、何だかワイシャツを着て、制服を着ている幸正が変な気がする。
全然先生でもいけるもん、うん。
「何ボケッとしてんの、単細胞。」
「ボケッとしてません!それにあたしは多細胞!」
「あは、ほら帰るぞ。」
最近、幸正はよく笑ってくれる。
仲良くなった、って事なんだよね?