短編-ワガママな恋。〜始まりのあの日〜
「ちょっと、なにが目的!?」
「あー、今日はお前に土下座してもらおうと思ってさ。」
この前別れた男が、あたしに顔を近づけ言った。
そいつの口からは、タバコと酒の混じった変な臭い。
「何で、あんたらなんかに!」
「は?…お前自分のした事分かってんだろ?」
そう言われた時、あたしは何も言い返せなかった。
「おい、土下座しろよ。」
ためらうあたしを、男の一人がど突いた。
こいつらが、本気であたしの事が好きだったかは分からない。
だけど、こいつらをフったのは、たしかにあたしだ。
するしかないのだろうか、"土下座"を。
そう踏ん切りがつくと。
自然に体は、地面へと下がって行った。
そして両膝がつき、両腕がついた。
「おぉ、素直じゃん。じゃあ言って貰おうか?"すいませんでした。"ってな。」
好き勝手やりやがって…。
そう思いながらも、あたしは謝るしかなかった。
こうしてあたしは、腕がパンパンになるまで土下座を続けた。
悔しくて、悔しくて、ずっと泣きながら…。