短編-ワガママな恋。〜始まりのあの日〜
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目が覚めたら、空が明るかった。
あたしは夕べ、うずくまったあの状態のままから寝ていた。
あれ、あたし…夢?
「じゃない…。」
膝は血だらけになっていて、腕はまだ疲れていた。
そして、涙で顔はグチャグチャ。
携帯を開くと、親とサナエからたくさんの着信。
もう、お昼を回ったころだった。
今はこの通りに、誰もいないけど。
朝はたくさんの人が、あたしの横を通り過ぎだに違いない。
はずかし…、
あたしは体を起きあがらせ、背伸びをした。
固まりつつあった関節が、次第にほぐれるのが感じる。
「一回、帰るしかないよな。」
あたしはフラついた足取りで、家の方向に歩き出した。