好きなもんは好き<短>


「で…できた……」

私の手には見栄えの悪いクッキー。
そんなクッキーだけど私には輝いて見える。




だって天君を思って作ったからねっ。






休み時間になれば、私は天君の教室へダッシュ。






走りながら思う。

天君と同じクラスが良かったなぁ。
なんて。



妄想しただけでニヤけちゃう。








「てーん君っ!」


いつのまにか、天君の教室の前。
天君の席は窓際だから私にとっては声かけやすくて好都合。




「クッキーだよんっ」

『いらね。
本気にしたのかよ』



…え?


「するよ、当たり前じゃん…」






天君の意地悪。
普通に受け取ってくれればそれでいいのに。



「本当に…いらないの?」


『え?』



後で欲しいって言ったって知らないんだからね。






「もういいもん」

『ちょっ!』


スタスタと来た道を戻る。



馬鹿馬鹿、天君の馬鹿。
天君なんて“天”に挟まれてぺっちゃんこになっちゃえ。





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