ふわふわのいた町
「もともと、ヤクザなんかとつきあいもあるこわい会社なんだってさ」
「アキ、くわしいじゃん」
「お父さんが教えてくれたんだ。この町を牛耳ってる会社なんだって」
「牛耳る?」
アキが嬉しそうに笑った。
「やっぱ、悠々もわかんない?」
私たちのグループではアキが一番こどもっぽくて可愛い。
「団体や組織を支配するってことなんだって。牛の耳を引張って動かすからなんだってさ」
そういって、きゃははとわらった。
「おっきい牛が耳ひっぱられて、もーって、なんか面白いね」
「うん」
別にあたしは面白くなかった。あたしたちが住んでいる町が、一つの会社や一人の人間に支配されている。今まで考えたことのないことを聞いて、少し嫌な気分になった。
「ユウコのカレシ、吉岡だっけ」
「そう、吉岡リョウ君」
吉岡建設、あたしの家からも見えている。町の山手に見下ろすよう建ってる大きな会社だ。そっか。
あたしは少し納得した。山の上に立つ建物を見て、お城みたいって思ったことがあった。間違ってなかったんだ。あの会社の社長さんは、この町の王様だったのか。
「リョウ君のお父さんさ。脱税でつかまったんだけど、お金払って、すぐ出てきちゃったんだって」
「へえ」
「警察も、税務署も市役所もリョウ君のお父さんと仲良しでさ。で、ヤクザさんとも仲良しなんだって」
本当に王様なんだ。
「こないだつかまったんだって、別件逮捕なんだって」
いつものアキなら絶対言わない難しい言葉が次々出てくる。
「ベッケンタイホ?」
「アキ、くわしいじゃん」
「お父さんが教えてくれたんだ。この町を牛耳ってる会社なんだって」
「牛耳る?」
アキが嬉しそうに笑った。
「やっぱ、悠々もわかんない?」
私たちのグループではアキが一番こどもっぽくて可愛い。
「団体や組織を支配するってことなんだって。牛の耳を引張って動かすからなんだってさ」
そういって、きゃははとわらった。
「おっきい牛が耳ひっぱられて、もーって、なんか面白いね」
「うん」
別にあたしは面白くなかった。あたしたちが住んでいる町が、一つの会社や一人の人間に支配されている。今まで考えたことのないことを聞いて、少し嫌な気分になった。
「ユウコのカレシ、吉岡だっけ」
「そう、吉岡リョウ君」
吉岡建設、あたしの家からも見えている。町の山手に見下ろすよう建ってる大きな会社だ。そっか。
あたしは少し納得した。山の上に立つ建物を見て、お城みたいって思ったことがあった。間違ってなかったんだ。あの会社の社長さんは、この町の王様だったのか。
「リョウ君のお父さんさ。脱税でつかまったんだけど、お金払って、すぐ出てきちゃったんだって」
「へえ」
「警察も、税務署も市役所もリョウ君のお父さんと仲良しでさ。で、ヤクザさんとも仲良しなんだって」
本当に王様なんだ。
「こないだつかまったんだって、別件逮捕なんだって」
いつものアキなら絶対言わない難しい言葉が次々出てくる。
「ベッケンタイホ?」