あの雨の日、きみの想いに涙した。


……ガタッ。昇降口に着いて俺たちは靴を上履きに履き替えた。


「俺あれからずっと長崎とメールしてんだ」

竹田は靴を履き替えながらニコニコと笑っている。


長崎?長崎……長崎、ああ、合コンに来てた竹田の気になる女か。それと同時にすっかり忘れていた事実を思い出してしまった。

長崎千尋が俺にピタリとくっつき、ふたりで抜けようと言ってきたことを。

チラッと竹田を見るとまだ嬉しそうにノロケていて、本当のことなんて言えるはずがない。

竹田に免じて忘れてやるよ。バカ女。



「おい。冴木ちょっと来い」

教室に向かう階段の途中で担任に呼ばれた。

嫌な予感がした。

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