あの雨の日、きみの想いに涙した。



連れてこられたのは職員室ではなく校長室だった。さすがの俺も少しだけ動揺していた。中に入ると校長と学年主任の姿。空気がピリピリとしていて重苦しい。


「連れてきました」

担任がそう言うと俺は強制的に校長の前に立たされた。


「冴木由希くん。きみはパチンコ店でアルバイトをしてるね?」

その一言で全ての状況を把握した。


くそ……。なんでバレたんだ?
バレないようにわざわざ遠くの店を選んだのに。


「昨日、田神パチンコ店できみを見た人がいるんだよ」

「………」

「冴木どうなんだ?」

担任が煽りを入れる。俺は冷静に動揺もせずに「はい」と答えた。


「うちの学校はバイト禁止だと知ってるね?」

「はい」

「パチンコ店は18歳未満は働いてはいけないことも知ってるよね?」

「はい」

俺は表情ひとつ変えることはなかった。その様子に担任は余計怒りを感じたのか突然声を荒らげる。


「お前反省してんのか!?」

「いや、してないけど」

この状況でまさかこんな返事が返ってくると思ってなかった三人の大人は固まっていた。

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