好き!嫌い!好き?
「優美!!スピード…落として!!」

「え~っ?何?聞こえな~い♪」

聞こえないふりですか!?

「落ちる落ちる落ちる~」

「大丈夫だって♪」

そんな軽く言わないでよぉ…

「優美の馬鹿ぁぁ!!って…わぁっ」

ドッシーン!!

なぁんて大袈裟な音をたててあたしは階段から落ちた。

「桃花大丈夫~?」

大丈夫なわけ…ないじゃん…

「えへへっ…大丈夫♪ちょっとお尻が痛いけど…」

お尻が痛いのはほんと。

落ちた時に打ったみたい。

「も~…桃花は鈍臭さ過ぎ~!!」

鈍臭さくて悪かったね!!

運動は苦手なの!!

「…優美のバーカ…」

聞こえるか聞こえないかの小さな声であたしは呟く。

「今…なんて言った!?」

げ…聞こえてた…。

まさかの地獄耳!?

「ぃ…いえ、何も」

「そう?ならいいけど。ほら桃花!立って立って!!」

そう言いながらあたしに手を差し出す優美。

「うん」

あたしはその手をとって立ち上がった。

そうしてあたし達は再びグラウンドに向かい始めた。






…………。

「キャー!!」

グラウンドに来ると、真っ先に聞こえる女の子の歓声。

そのすべては、部活中のサッカー部のメンバーに向けられたもの。

「うわ…すっごい…」

そんな光景を見て、あたしは感嘆の声をあげてしまう。

「やっぱりサッカー部の人気はすごいね~…」

優美も呟く。

『サッカー部は10分間休憩しろ~』

そこでサッカー部の顧問の声が響いた。

「キャー!!」

そしてまた始まる歓声。

その合間に、

『大樹先輩にタオルの差し入れするのは私よ!!』

『違うわ、あたしよ!!』

『私は彼方先輩に!!』

『彼方くんにはあたしが渡すの!!』

という争いの声。

そして、女の子達はサッカー部に向かって走りよっていく。

「うわっ」

「ちょっ…」

そんな波に私達は飲まれた。

「ゲホゲホ…桃花…大丈夫?」

「ケホッ…な…なんとか…」

女の子達が走っていった時にたった砂埃で咳込む。
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