好き!嫌い!好き?
「はぁはぁはぁ…」

大丈夫だよね……。
誰も…気づいてないよね??

だって…何か誤解を招くようなことになったら嫌だし…。

あぁーっもうっ!忘れよ!全部!



次の日。

「キャーッ大樹せんぱーい!!」

グラウンドから聴こえる女子の黄色い声。

きっと…サッカー部が朝練をしているに違いない。

にしても…大樹先輩って結構人気あるんだ…。

って……もう!忘れるんでしょ!?何であの人のこと考えてるのよ!!


………。
…………。

「桃花、おっはよー!!」

「優美、おはよう」

一番の友達、桜井優美は元気で明るいみんなのリーダー的存在。

だから、学級代表をしている。

そんな優美にあたしは尋ねてみた。

「ねぇ…優美はサッカー部の斎藤大樹先輩って知ってる?」

「知ってるよ!ううん…知らないほうがおかしい!この学校一有名だよ!?ファンクラブがあるくらい!……もしかして…桃花知らなかったの!?」

罵声にも似た声で熱く語る優美にあたしは小さく「うん。昨日知ったの」と答えた。

「ありえない…ありえないよ桃花!!ダメだよ!そういうのはちゃんと知っておかなきゃ!!ねっ?」

「…う…うん」

何で知っておかなきゃいけないのか…。

別に知らなくても平気じゃん…。

…とは思うけど、心の中にしまって置くべきだ。うん。

「ていうか何がきっかけで昨日知ったの!?教えてよ!」

「えーっ…別に…きっかけとかないよ…?」

「嘘だぁ…きっかけなしでどうやってそういうことを桃花が知るの?普通に過ごしてたら絶対、桃花は気づかないし、知ることだってないよ!」

「…ぅ…」

だって…言えないってば…あんなの…ちょっとときめいちゃったことも含めて全部…絶対言えないっ!

「もーもかっ」

「………」

「ねぇ…桃花ってば」

「桃花っ!ねぇ!聞いてる?」

「ごめん…優美!」

ここは…逃げるしかないっ!

あたしは走り出す。

「桃花ぁー逃げるなぁー!!」

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