センセイ


生徒指導なんて怖そうな役目を持ってるのに、センセイは他の生徒にも人気者だった。

真面目な子からも、ちょっと悪そうな子たちからも。もちろん、他の先生たちからも。



だってセンセイは、いつだって相手のことを一番に考えてくれるから。

あの生徒指導室でも、きっとその子の事情や気持ちをちゃんと聞いて、それにあった言葉を返して。

それがみんなに慕われる証拠でもあったと思うんだ。



そう、センセイはみんなに優しいから。




「せんせーい!」

「おおっと、裾を引っ張るな」



ふと廊下から聞こえて来た声。

長い白衣の裾を掴まれて、センセイは呼び止めてきた誰かを振り返った。

そんな様子を、私は教室の自分の席から眺める。




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