センセイ



理解しがたい言葉に、私の顔からは強がりの表情が消えていった。

よくわからなくて。でもセンセイの手の感触は私を裏切らなくて。



「嘘でも真実でも、どっちでもいいんだよ。それがお前に取って辛いことなのかそうでないことなのか。オレにはその方が重要なことだから」

「センセイ…」

「だから、もう苦しむな」

「…………っ」





きっと、他の生徒と何ひとつ違わなくていい。

同じ視線で、同じように見てもらえて。

当たり前に接してもらえたら、それで良かったのかもしれない。



ただ、今のままの私じゃ、全然目立たなくてセンセイの目になんかとまらないから。

少し、寂しかっただけなのかな。



「苦しかったよな、平山」

「ふ、…ぅっ、センセ…」



だってセンセイは、やっぱりみんなを大事に思ってる。

そして私は、そんなセンセイに惹かれたんだ。

だからセンセイの優しさを、身を持って感じられるなら。

大好きなセンセイを、傷つけずに済むのなら。

私の小さな気持ちなんて…



< 41 / 50 >

この作品をシェア

pagetop