センセイ


センセイが見ていてくれるなら。

一番近くじゃなくても、センセイの優しい視線を感じていられるなら。

やっとそう思えた。



それなのに



「湯本先生、あのっ…」

「平山さん、早くこっちへ!」



誤魔化しようのない状態を、足りない言葉で必死に取り繕おうとした私。

でも、その発言なんて聞いてもらえなかった。



「平山さん、これが本当のことだったのね、あの時は信じてあげられなくて悪かったわ。こんな…、こんな失態を白鳥先生が犯すなんて」

「あの、だからこれは私が…」



夏の風は
少しずつ遠ざかっていく。

どうしてこの暑さは、こんなふうに私の邪魔をするんだろう。

どうして近づけた距離を、無理に離そうとするんだろう。



それはこの景色すべてが、夢見てはいけない幻想だったから?



「白鳥先生、今すぐ職員室へ!平山さんはこっちよ、さぁ」




センセイ…

センセイ…



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