ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~



「…で、坊やはどこ?」



佐倉は先程の質問を繰り返す。



あたしは佐倉を一瞥するものの、何も言わないでいた。



「なに、またケンカかよ」



どうしていつもそーなるのよ。



「違うよ」



あたし達が別行動してるだけで、ケンカしてるって決め付けるのはおかしい。



佐倉はいつもそうだ。



よほどあたし達に、ケンカしててほしいのだろうか。



「迷子」

「あぁ、坊や?」

「ううん」

「え?」

「迷子はあたし。あたしがはぐれたの」



大方、エサ(屋台)につられたワンが先走ってはぐれた、とか思ったんだろうけど。



佐倉はあたしの言葉を、あまり信じていなさそうに、「ふーん」とだけ返事をして口を開く。



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