ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
すぐ後ろで聞こえた安藤の声。
安藤は壁に手をつき、あたしを自分と壁とで挟んだ。
「どいて、そこ」
あたしは平生を装いながら、安藤を見上げる。
「いやです」
いやって言われても、こんなところ誰かにみられたら困る。
「どいてくれなきゃ、あたし帰れないし」
放課後の下駄箱。
いつ誰が通りかかってもおかしくない。
「…そんなすぐに、消せるわけないでしょ」
…え?
弱々しく呟かれた安藤の声。
「忘れれるもんなら、とっくに忘れてます。できないから、苦労してるんですよ」
壁につけていた安藤の手は、固く握られていた。