ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~



稀衣ちゃんは今、なにを見てるんだろうとか。



今のオレは、見ただろうかとか。



オレじゃない誰かを応援してんのかなとか。



考えてたら、集中もできず。



さっきの試合は、ダメダメだった。



試合の結果はよかったし、誰もオレの異変になんて、気付かないだろうと思ってたのに。



「竜はいつも、変わらないよな」



橋野の前でも。



「そうか?」

「うん。スゲーと思う」



竜は飲み干したコーラの空き缶を、片手で潰した。



「アイツが俺を見てないことを、俺は知ってる」



オレも飲み干した空き缶を、両手で捩って潰した。



「でも、ワンは違う」

「違う?」

「鮎沢はワンを見てる。だから平生でいられなくなる。当たり前のことだ」



< 445 / 606 >

この作品をシェア

pagetop