ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
稀衣ちゃんは今、なにを見てるんだろうとか。
今のオレは、見ただろうかとか。
オレじゃない誰かを応援してんのかなとか。
考えてたら、集中もできず。
さっきの試合は、ダメダメだった。
試合の結果はよかったし、誰もオレの異変になんて、気付かないだろうと思ってたのに。
「竜はいつも、変わらないよな」
橋野の前でも。
「そうか?」
「うん。スゲーと思う」
竜は飲み干したコーラの空き缶を、片手で潰した。
「アイツが俺を見てないことを、俺は知ってる」
オレも飲み干した空き缶を、両手で捩って潰した。
「でも、ワンは違う」
「違う?」
「鮎沢はワンを見てる。だから平生でいられなくなる。当たり前のことだ」