ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~



そんな時に、安藤なんかと一緒にいるし。



「…うん、でも」



稀衣ちゃんにとってのオレが、頼れないオレなら。



「優勝して、カッコよく迎えに行く!ん!」



多分オレは、ただひたすらにもがくことしか出来ないから。



それでも。



それでも側にいてくれると言うのなら、オレはそれに応えるだけだ。



竜は少しだけ笑うと、立ち上がった。



オレも立ち上がる。



「絶対勝つ!」

「おー」



拳をぶつけて、体育館へと向かった。



不思議と心がすっきりしていた。



竜に話したからかな。



竜はいつも、黙って聞いてくれるから。



つい喋りすぎてしまうことがあるけど。



別にそれを、嫌とは思わなかった。



体育館へ入ると、オレ達のクラスが円陣を組んでいた。



「ワン!高城!」

「早く早く!」



みんな気合いは十分だ。



オレが私情を持ち込むわけにはいかないんだ。




試合スタートの時間が迫り、両クラスから5人ずつがコートの中央に整列した。



決勝の相手はなんと、1年生の安藤のいるクラスだ。



ここまで上がってきたってことは、かなりの強豪だと思われる。



バスケ部の安藤はやっぱり、上手いんだろうな。



「おい安藤、手加減いらねーかんな!?」

「いいんですか?身長だけでかなりハンデあると思いますけど」



安藤はオレを見下ろしながら言う。



嫌味っぽさはないものの、負けたくないという気だけはひしひしと伝わってきた。



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